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「そんな卑劣な相手に、手を差し延べるんだもん。
文香は、どんだけお人よしなんだか…フフッ」
「まさか、そこまで……」
「その証拠じゃないけど、颯太から聞いた話では…
文香の『ひと夏の恋OK』の噂と一緒に、文香の部屋番号まで教えてくれたらしいよ」
私は、将さんの話に現実味を感じて、ゾクッと身震いした。
瀬里奈さんの鋭い眼差しと怒りに奮える姿を思い出す。
将さんが好きなのはわかるけど、そこまでするなんて怖い…
私は、将さんの背中に回した手に力を入れて、しがみつく。
「ゴメンゴメン。
怖がらせるつもりはなかったんだけどな…
でも、もう大丈夫。
これからは、遠慮なく、俺が傍にいるから…
文香が嫌っていうくらいにね?」
私が過呼吸で倒れた時にも言ってくれた言葉だ
どれだけ心強いことだろう
将さんが優しく微笑みながら、私の頭をわしゃわしゃした。
この大きくて温かい手が大好き。
わしゃわしゃは、私の心の安定剤
みるみるうちに、私の心が落ち着いてくる。
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