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周りの皆も固唾を呑んで、事の成り行きを注目している。
「離れろって言ってるでしょ!!」
「痛ッ!」
瀬里奈さんは、悲鳴ににも似た声で叫び、凄い力で私の腕を掴んで、無理矢理、将さんから私を引き離そうとした。
バシンッ!
「キャッ!」
ドンッ!
大きな音とともに、瀬里奈さんが尻餅をついた。
将さんが、私を掴む瀬里奈さんの手を、思い切り払い退けたのだ。
そして、冷めた目で、瀬里奈さんを見下す。
「垣内、なんか勘違いしてない?
俺は、関係ない垣内に指図される覚えは、全くない。
それに今、言ったばかりだろ?
文香に手を出したら、女でも許さないよ。
垣内…俺は、今までは何も言わなかったけど、文香は違うよ?
俺のものだからね」
しんと静まり返った部屋に、背筋が凍るような低い声だけが響いた。
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