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「何これ?どういうこと?」
「あ、あたしも、昨日からイロイロありすぎて、訳が…」
「すみません!突然やってきてこんなこと…」
慌てふためく女子短大生二人に、オロオロする男子高校生一人。
端から見ると、なんとも奇妙な組み合わせだ。
「じゃあ、藤沢さんのあの挙動不振は…」
「綾ちゃんが来てるってこと?」
「綾乃が絡んでくると、ろくなことがないからなぁ…」
そう千夏がボヤいた瞬間に、私の視線の先で、その『ろくでもない』ことが起きた。
思考が止まる。
呼吸が止まる。
時間が止まる。
すべてが止まる。
私の視線の先で、将さんと綾ちゃんがキスをしていた…
それからは、すべてがスローモーションのように、ゆっくりと動いていく。
私の大切な彼の唇から離れた彼女は、やっぱり勝ち誇った顔をして、微笑みながら私を見ている。
あの時のように…
残酷なほど綺麗で…
ああ…やっぱり私は……
あの暗闇に引き戻される
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