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目の前の光景 #2
「嘘……」
そこには、私が今から会いに行こうとしていた人がいた。
私が今から『好きだ』と伝えようとしていた人がいた。
私の目の前で、見知らぬ女性を抱いて…
何?これ…
将さん、何やってるの?
嘘だよね?
ロングの巻髪に、綺麗な顔立ち、長身で白いワンピースを着こなす彼女は、とても大人っぽい。
二人の姿は、お似合いの恋人同士にしか見えない。
目の前に突然突き付けられた光景に、私の視線も身体も凍りついたままだ。
しかし、目の前の光景は、私の状態とは反対に動いていく。
彼女の腰から将さんの腕が解け、私は一瞬ホッとするが、その将さんの腕に、見知らぬ女性の腕がすぐに絡み付く。
やめて…
やめてよ!
大きな声で叫びたいけど、私の身体は、私の思い通りに動かない。
将さんは腕に絡み付いた彼女を拒否もせず、普段女性に無表情な彼が、彼女には笑顔を向けている。
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