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「大丈夫です…」
『大丈夫』という言葉と、頭をわしゃわしゃしてくれる大きな手で、いつも将さんが臆病な私を安心させてくれていた。
なのに、今の私の『大丈夫』は、将さんになんて辛い思いをさせているのだろう。
私が将さんに対して発作を起こしたことで、きっと優しい彼は自分を責めている。
「将さん…ごめんなさい…」
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
私がもっと心も身体も強ければ、彼を傷つけることはなかった…
「何で、文香が謝るの?
文香は何も悪くないよ。謝るのは俺のほうだよ…」
コツン…
ドアを軽く叩くような小さな音がした。
私はなんとなく、将さんが頭をコツンとドアにもたれ掛けた気がして、そっとドアに近づく。
将さん…このドアの向こう側にいるのかな?
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