854人が本棚に入れています
本棚に追加
私と将さんを隔てるのは、たった一枚の扉
だけど、その一枚の扉が、なんて悲しい距離なんだろう
私は少しでも将さんに近寄りたくなって、ドアに背をもたれて、体操座りをした。
すると、ドアの向こう側でも洋服の擦れる音がした。
将さんもドアにもたれて座った感じがする。
「文香………………ゴメン」
将さんが小さな声で謝った。
「文香、傷つけてゴメン。
俺、油断してた。
それに、俺…
何も…何も知らなくて…
ホントにゴメン……」
将さんは沈んだ声でまた謝った。
将さん…
多分、綾ちゃんと大島君のことを知ったんだね…
「将さん…そんなに謝らないで…」
「謝っても謝りきれない…
自分が本当に情けないよ。
はぁー…
やっぱ、こんなのダメだな…
文香……俺と話すと体調によくないかもしれないから…」
「待って!」
話を切り上げようとする将さんを、思わず呼び止めた。
・
最初のコメントを投稿しよう!