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「文香……
今、そんなこと言うなんて…
なにもかも反則だよ…」
ドアの向こうから、将さんが囁くように呟いた。
「だって…だって…!」
私の目に涙が溜まり始める。
「文香…
文香の言う通り、全部誤解だ。
俺は彼女達に何の興味もない。
俺には文香だけ。
俺はどうしようもないくらい…
文香が誰よりも1番好きなんだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の涙はダムが決壊したようにとめどなく溢れ出す。
私は今日ほど生まれてきて嬉しかったことはない。
今まで、私は綾ちゃんと比較され、蔑まれて生きてきた。
いつも綾ちゃんが1番だった。
大島君も綾ちゃんを選んだ。
だから、私が誰かの1番になれるなんて思わなかった。
それを…
1番大好きな人が叶えてくれるなんて…!
悪魔のオオカミは、また私の1番欲しかった言葉をくれた。
そして、私の胸に深く突き刺さっていた矢をポンッと引き抜き、魔力で簡単に消し去ったのだ。
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