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「将さん…!」
将さんに会いたい!今すぐに!
こんな幸せな言葉を貰ったのに、扉一枚に邪魔されている。
堪らなくなった私は、扉を開けようとドアノブを回しドアを押す。
あれ?ドアが開かない。
「文香!ダメだよ!」
ああ!将さんがドアの前にもたれていたんだ!
「でも…でも…」
「さすがに、これ以上反則できないよ。せめて、橋本が帰ってきてから…」
「駄目!今!今なの!」
「文香……
俺…今、文香に発作起こされたら、立ち直れないよ…」
将さんが複雑な心境を吐露した。
将さんの気持ちも解る。
解るんだけど…
「大丈夫!大丈夫だから!」
私は何の説得力のない『大丈夫』を繰り返す。
だけど、さっきの『大丈夫』とは違うの!
私にはわかる!
この扉を開ければ、きっと私の何かが変わる!
「将さん!ホントに大丈夫!
だって、あたし、今、凄く幸せだから!!」
ドンッ!
私は体当たりして、無理やり扉を開け放った。
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