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「大丈夫…もう大丈夫だから。
将さんが許してくれるなら、嫌というほど傍にいるから…」
私は、いつも私が励まして貰っていた将さんの言葉を、同じように彼に語りかける。
私は貴方の傍にいたい
私は貴方を失いたくない
貴方が怯えるように語りかける気持ちが、私にも痛いほどわかる。
「文香を誰にも奪われたくない。
だから、俺から離れないで…
ずっと、傍にいて…
俺…こんなに人を好きになったことがないんだ。
こんなに好きな文香を失うなんて、俺はきっと耐えられないよ…」
「しょ…ヒック…さ…グスッ…」
私は嗚咽で声にならない。
将さん…私も一緒だよ。
全部、貴方と一緒
扉の向こう側には、なんてかけがえのない幸せが待っていたのだろうか。
私を本当に心から求めてくれる人がいる。
いつも私が求めて止まなかったものを、彼も私に求めてくれる。
あなたが傍にいるだけで…
ただ、それだけでいい。
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