854人が本棚に入れています
本棚に追加
「文香!アタシだよ!
傍にいるのは千夏だよ!
アタシは文香が大事だよ。大好きだよ」
「ち…なつ…」
「うん。大丈夫。千夏だよ」
千夏が私を優しく抱きしめる。
千夏の傍に私はいてもいいの?
私は震えながら、千夏にしがみつき、それに応えるように、千夏は優しく私の背中を摩る。
「千夏…ごめんなさい…ごめんなさい」
「文香はなぁんにも悪くない。
だから、謝らなくていいの。
文香…ちょっと疲れてるから、もう一度寝よう」
「嫌…怖い!
また…あの夢を見るのは…嫌!」
「大丈夫だよ。
私がずっと傍にいるからね」
泣きじゃくる私を、千夏が私の手を握りしめながら諭す。
「文香ちゃん…この薬を飲もうか。もう怖い夢も見ないから」
高峰先生が私の傍までやってきて、ゆっくりと千夏に薬とコップの水を渡す。
私は促されるまま、薬を飲んだ。
そして、千夏に手を握られたまま、人肌の温かさに安心し、私は再び眠りに落ちた。
・
最初のコメントを投稿しよう!