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「綾ちゃん…」
振り返ると、私が座ってたベンチの真後ろにある樹に寄り掛かり、腕を組んで、綾ちゃんが私を見下ろしていた。
「文ちゃん、余裕だね。
あんなことがあったのに…クスクスッ」
綾ちゃんは、いつものように、私を蔑む目で見つめ、口の端で笑った。
ああ…
綾ちゃんって、寂しいな…
綺麗なのに、いつもこんな笑い方しかしない
……あれ?
私、綾ちゃんが寂しいなんて、どうして思ったんだろ?
いつもは、綺麗な顔を見て、羨ましいとしか感じないのに…
「ちょっと文ちゃん、聞いてる?
話があるんだけど!」
私がぼんやりしてたからか、綾ちゃんは不機嫌そうに、威圧的に私に話し掛ける。
「あ、うん。何?」
「ここじゃ話づらいから、場所変えたいんだけど!」
「…わかった」
これって、待ち人来たるってことになるのかな?
私は不思議と落ち着いていた。
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