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「大島君…どうしてここに…」
「俺、文香先輩に伝えたくて…」
今更、何を…?
「大島君が見たこと、文ちゃんにも話してあげたら?」
「あの……俺…見たんです。
水族館で見た文香先輩の彼氏が、綺麗な女の人とホテル街に歩いていくのを…」
「そう…」
私の胸の中に、どんどん悲しみの感情が沸き起こってきた。
どうして、こんなことをするんだろう…
このやる瀬ない悲しい気持ちは、決して将さんに対してではない。
真っ黒な嘘に覆い隠されている、綾ちゃんに対してだ。
将さんが綺麗な人とホテル街へ
前の私なら、容易に騙されていたかもしれない。
だけど、私は綾ちゃんと奈緒さんに繋がりがあるかもしれないと知っている。
だから、いくら鈍い私でも、大島君が見た光景は、綾ちゃんと奈緒さんが仕組んだ可能性が高いのではないかと考える。
綾ちゃん…
嘘ばかりついて、辛くないの?
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