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私はあの日を思い返す。
けれど実は…私は、あの日の記憶が曖昧だ。
鮮明に覚えているのは、私の部屋で抱き合う綾ちゃんと大島君の姿。
その後のことを、未だにはっきりと思い出せない。
ショックで家を飛び出した。
外は土砂降りの雨。
私の気持ちと同じような…
どれだけ雨に打たれていたのかも覚えてはいない。
ただ…
『私はいらない子だから、いなくなったほうがいい』
そればかりが頭を支配していた。
だから…
ゆっくりと足を踏み出した。
車が激しく行き交う道路へ
クラクションの音と眩しいライトの光
私が覚えているのは、それだけ…
結局、私は無傷だった。
車には引かれなかったのだ。
道路の真ん中で気を失い、病院に担ぎ込まれただけだ。
ただ…心は壊れたまま…
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