Esc【上】 全ての始まり

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雑踏を掻き分けて、ネオンが切り裂く闇の中をただ、走る、走る、走る。 彼女から託された“モノ”を渡すわけにはいかない。 だが、少女の両腕は何も持っておらず、固く握られた拳が力なく振られているだけである。 奴等がくる。 こうして走っているだけではいつか追い付かれてしまう。 だが、少女に走る以外の選択はない。 ただ逃げ惑うしかないのだ。
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