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まだ眠っていたい。そう思いながら薄く開いた眼に見えたのは白い天井だった。
視線を巡らせてみる。
白い天井、白い蛍光灯、小さいテレビの脇には点滴を吊しておくための鉄の器具が一つ。
ここまで見て、あぁ此処は病院なのかと認識した。
でも、何で病院なんかに?
それを考えようとしたとき手に何かの感覚がある事に気付いた。
ふと、視線を落とすと、誰かの手が自分の手を握っていた。
不思議な事に今の今まで気付かなかったが、そこには人が居た。
手を握られているのだからそこには人がいて当然だ。
驚くべきは今まで人がいるとゆう事に気付かなかった事だ。
ましてや人間の敏感たる感覚の一つの触角を刺激されて―――つまりは手を握られているのに今までそこに人がいるのがわからなかった。
気配さえ感じさせないそれは、けれどたしかにそこに存在していた。
私の手を両手で握って。
ただ俯いて何かを呟いて。
背格好だけ見れば自分とそんなに変わらない年頃であろうその少女には、存在感とゆうものが欠落してしまっているんじゃないかと思った。
ふと、こちらが彼女を認識したのとほぼ同時に、弾かれたように俯いていた顔がこちらに向けて持ち上がった。
「・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・。」
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