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彼女は無言だった。
目は綺麗な翠色だった。
最初はカラーコンタクトかとも思ったが、人工物にしては色の純度が高い。
素人である自分でもそう確信出来るほどに彼女の目は透き通っていて綺麗だった。
そんな彼女の目に見惚れていたせいか、彼女が言葉を発している事に気付くのが遅れた。
最初の一言目を聞き逃した。
「ほぇ?」などと抜けた声を発してしまったが、彼女は一言目をもう一度言ってくれた。
「・・・目、覚めたの?」
「ぇ・・・あ、はい・・」
受け答えがぎこちなくなってしまう。
見ず知らずの人に手まで握られて心配されてはぎこちなくもなる。
今更だが彼女の手がひんやり冷たいのを知る。
緊張して火照った私の体の熱を沈めるほどに。
「あの・・・・・・」
「何?」
「あの、えと、あなたは・・・・・・誰ですか?」
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