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「ほらね!お茶出しって、結構、重要でしょ?」
「え?」
私も紅茶を一口飲むと、ふんわりと紅茶の甘い香りが鼻を通り抜ける。
それと同時に入社当時の思い出も甦る。
「さっきの社長と紅茶の話、あたしが新人の頃のことなの。
入社二ヶ月くらいの頃で、まだなーんにも仕事が出来なくて、お茶出しくらいしかまともに出来なくて、ちょっと凹んでたんだよね。
そしたら、社長が優しく話し掛けてくれて…」
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『君も紅茶派かい?
私も実は、コーヒーより紅茶なんだよ』
『そうなんですか?』
『ああ。それにしても、この紅茶美味しいねぇ。
君の心遣いが味に出てる』
『え?いえ…あの…この紅茶、私の好みでブレンドして貰ったもので、ちょっと違うから…』
私は社長の褒め言葉に恐縮する。
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