心許ない足元

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頭が混乱して、身体も固まったまま動かない。 「今ならまだ間に合うだろ?」 「…なに…が……」 横山君は何が言いたいの? 横山君は、私を抱きしめたまま、更に続ける。 「お前はまだ完全にアイツのものになってない。 今ならまだ、アイツからお前を奪える」 完全に将さんのものじゃない? 将さんから私を奪う? 驚きで停止していた脳が、自分勝手な事ばかりを言っている相手への怒りで、徐々に回転し始めた。 そして、心と身体に危険信号が下される。 「何、勝手なこと言ってるの! 離して!離してってば!!」 「離さない」 私は横山君の腕の中から、なんとか抜け出そうと暴れるが、男性の力には敵わない。 嫌だ!怖い!! 将さん以外の男性に抱きしめられていることを自覚し、恐怖心が沸いて来る。 ・
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