心許ない足元

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こうなったら…… 「は!な!せーーッ!!」 ガコッ!! 「いってーーッ!!」 私の反撃が見事クリーンヒットし、横山君は思わず私を離し、その場に踞った。 以前、将さんから簡単な護身術で、抱き着かれた場合、ヒールの踵で思い切り相手の足を踏めと教わっていたのだ。 マジで、将さんから教わってて、良かったーーッ!! 私は直ぐさま横山君から離れ、踞る横山君を見下ろした。 「いい加減にして!冗談はやめてよ!」 入社初日の横山君を思い返せば、今度も本気とは思えない。 「………じゃない」 「え?」 「冗談じゃない!マジなんだよ!」 横山君は、足を抱え込んでしゃがんだまま、私を見上げて叫んだ。 迫力ある真剣な表情の横山君に、冗談ではない雰囲気を感じ取り、私は後退る。 ・
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