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「いや、まぁ…文香ちゃんの話なんだけど…ククッ」
「え?あたし?」
西野さんは肩を震わせ、笑いを堪えている。
何がそんなに可笑しいの?
「…この前、会社の同期会をやった時、俺の彼女はホントにいるのかって話になったんだよ」
将さんはオムライスを食べながら、淡々と話す。
「そ。彼女いる奴は、会社の誰かしら一人くらいには、実物もしくは写メなんかで彼女を見せてる。
だけど、崎村は入社前から彼女持ちって有名なのに、彼女の実体が謎」
「え?あたしが謎?」
西野さんがチラリと将さんを見て、オムライスをパクリと一口食べた。
「だってさぁ、実物はもちろん、写メも誰も入社してから一度も見たことがない。
彼女持ちってアピールしているのは、その右薬指のペアリングだけ」
私の右薬指にも、もちろんいつもはめてあるイルカのモチーフのペアリング。
卒業祝いとして、将さんからプレゼントされたものだ。
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