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「ななな、何してるんですかッ!?
公衆の面前で!!」
「フフッ…文香があまりにも可愛かったから、ついね」
顔が沸騰して、アタフタしている私とは対照的に、将さんは余裕な表情であっけらかんとしている。
ついって…ついって!!
真っ昼間の公道でキスするか!?
「ハァー…こっちがご馳走様だよ」
「ハッ!西野さん!すみません!」
「ブッ!何で文香が謝るの」
「将さん!」
もう!いつもいつも!!
この悪魔のオオカミめ!!
意地悪な笑顔が憎らしいけど、カッコイイから、またドキドキする。
長年付き合っているというのに、未だに彼の一挙一動に、私の心臓は敏感に反応する。
「フフッ…うさぎちゃん、お留守よろしくね」
将さんは綺麗な笑顔でそう言うと、私の頭をわしゃわしゃと優しく撫でた。
そして、西野さんとともに会社のほうへと歩いて行くのを、私は手を振り見送った。
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