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「そうだよ。このリング渡した時に言ったでしょ?
エンゲージリングの予約だって」
将さんは、私の右の薬指のイルカのモチーフの指輪をちょんちょんと指で触って、首を傾げる。
確かに言われた!
言われたけど…
まさか、あの時から3年先を見越しているとは…
私は口がポカーンと開きっぱなし
「だから、念のために言っとくけど、横山の件で焦ってプロポーズした訳じゃないからね?」
「はあ…」
そんなこと全く思いつきもしなかったですけど…
将さんはちょっとふて腐れながら、話し出した。
「三年後くらいなら、社会人として落ち着いてくるだろうし、その頃には『恩返し』の見通しもつくかなって…心を鬼にして待ってたんだよ?」
「あ、う…」
何も知らずに呑気に私が3年間を過ごしてきたことに、何となく申し訳ない気がして、言葉に詰まる。
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