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「文香…?」
「…あ……」
痺れを切らした将さんが、私に声をかけるけれど、身体が強張って思うように声が出せない。
すると、将さんが首を傾げて
「文香…今のプロポーズ、なんだけど……わかってる?」
「わ、わ、わかってますッ!!」
あ…声出た。
なかなか返事をしない私に、まさかプロポーズの念押し。
ムードもへったくれもない。
でも、お陰でガチガチだった身体がほぐれて来た。
「いや…文香のことだから、ひょっとして、気付いてないのかと思って…フフッ」
そう言って、意地悪な笑みを浮かべる将さん。
どんだけ私が鈍感だと思ってるのよ…
でも、なかなか返事をしない私が招いたことか…ハハハ
私もふっと頬が緩む。
さっきまでのピンと張った空気が、柔らかな空気へと変わる。
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