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「あと…
婚約おめでとう。三田さん」
「あ…えと……
ありがとうございます…」
何となく、ぎこちない態度になってしまった。
安井さんが私を好きって、未だに信じられないというか…
だから、どういう態度を取ったらいいのかわからない。
「フフッ…三田さんって、やっぱりわかりやすいよね」
「え?」
安井さんは、眉を下げ、困ったような顔で笑っている。
「俺がうだうだしてたから、秋吉もイライラしたんだろうな…ハハ」
「安井さん…」
自嘲ぎみに笑う安井さんに、私は何も言うことができない。
「俺さ…多分、本社を離れると思うから」
「あ…異動を願い出たって…」
「ああ…この機会に、地元のほうに戻ろうと思ってね」
「そ、ですか…」
こんな騒ぎがなければ、安井さんは、まだバリバリ本社で働いていたのかもしれないと思うと、やる瀬ない。
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