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「わかった」 #3
「おいこら!何、サボってんだ!
もう幸せボケか?」
「こ、古賀主任!!」
突然、会議室に古賀主任が現れ、慌てて立ち上がる。
「あれ?横山は?」
「え?先に戻ってませんか?」
「いや。帰ってないぞ。
あ?糞か?それとも傷心で泣いてんのか?」
古賀主任…そんな身も蓋も無い言い方しなくても…ハハハ…
私は頬を引き攣らせ、苦笑いを浮かべる。
「とりあえず、お前だけでも先に戻れ」
「は、はい!」
横山君、どこ行ったんだろ?
私は、そんなことを考えつつ、バタバタと引き継ぎ資料を纏め、古賀主任とともにデザイン部のフロアに戻った。
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「じゃ、よろしく頼むよ…」
ピッと携帯を切り
「ふー…
手段を選んでる場合じゃないって、よーく『わかった』から…
もう遠慮しないよ」
横山君が人知れず、こんなことを呟いてほくそ笑んでいたなんて…
もちろん、私は知る由もなく…
この一本の電話によって、私の奇跡は、大きく様変わりしていたのだ。
悲しいほどに…
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