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しかし、母の前でそんな文句を義父に対して言おうものなら、凄い剣幕で罵られるのはわかっているので、私は言葉を飲み込んだ。
「文ちゃん…仕事は順調かい?」
「あ…うん。とりあえず、順調かな」
気まずい私を気遣い、話し掛けてきた義父。
義父はいつもそうだ。
私にだけ、遠慮がちに、愛想笑いしながら話す。素でざっくばらんに話すなんてことはない。
私と話すことに、凄く気を遣っているのだ。
「そうか…文ちゃんがデザインした文具は、凄い人気なんだって?
結希(ユウキ)が言ってたよ」
「まあ…うん。結ちゃんは元気?」
「あ、ああ…」
ん?何?
結ちゃんの話をしたら、義父は何故か不自然に目線を逸らした。
何か、結ちゃんのことで、言いづらいことでもあるのかな?
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