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私は義父の言葉に茫然となる。
お見合いは断れないって…
私は絶対にお見合いをしないといけないってこと?
そんな理不尽なこと、受け入れられるはずがないじゃない!!
「何で私の了承なく、勝手にお見合いの話を進めてるの!?」
腹立たしい感情をぶつけるように、バン!とテーブルを叩き、立ち上がった。
「勘違いしないでよ。あんたが勝手に見初められたんでしょ?」
「え?」
「向こうがあんたを名指しで指名してきたのよ」
「は?あたしを名指し?」
名指しのお見合いなんて…普通あるの?
淡々と冷めている母の口調が、さらに私の苛立ちを煽る。
「そう…うちの大口のお客様から、どうしても文ちゃんを、とのたっての希望で…断れなかった」
義父は地元の銀行の役職だ。
ということは、相手はその取引先ってことになる。
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