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「大口のお客様って…」
「正確には、そのお客様のお孫さんが、文ちゃんの見合い相手だ」
「孫!?」
どうして、孫が私を名指しするのよ!?
一体、誰なのよ!!
釈然としない状況に、靄がかかったような状況に、どうしようもないイライラとモヤモヤが、とぐろを巻いてうごめいている。
「私のお見合い相手って、一体………あッ!」
突然、私の頭の中に、このお見合い相手と思える人物が浮かぶ。
まさか…
まさか…
私が、その人物の名を口にしようとした、その時
コンコン…カチャ
「失礼します」
ノックの後に、ゆっくりと部屋に入ってきたのは
「横山…君……」
私以外に見せるいつもの猫被りの笑顔を顔に貼付けて、ずる賢い猫がそこに立っていた。
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