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「わからない?将来、俺が選挙に出る時に…だよ。つまり俺は、横山家の後継ぎなのさ」
横山君は目線を下に向け、吐き捨てるように言った。
選挙に後継ぎ…全く別世界の話で、私には何一つピンと来ない。
「爺さんの子供は、うちの親父とその兄貴、あとは女2人だ。そして、その叔父と叔母達の中に息子は産まれなかった。
横山家の直系で、男なのは親父と叔父と俺だけだ。
だから、爺さんは唯一の男の孫である後継ぎの俺を溺愛しているんだよ。
爺さんは我が家の絶対的存在だ。誰も逆らえない。親父でも。
でも、俺は別。爺さんのほうが俺に逆らえない状態さ。
だから、誰もが俺の言う通り。凄いだろ?ハハハッ!」
横山君は笑っているのに、とても苦しげで淋しそうな表情で…。
まただ…
私…どこかでこの横山君と同じ表情を見たことが…
デジャヴュ?
どうしても思い出せなくて、歯痒い。
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