袋小路 #2

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義父が、このお見合いを断れなかった理由が、やっとわかった。 いくら地銀の役職についてるからって、一介の銀行マンの義父が、こんな大物政治家の申し出を蹴るなんて無理だ。 格が違いすぎる… 横山君のお父さんとお爺さん… 二人の社会的地位を考えれば、権力という名の圧力は相当なものだろう。 しかし… そんな大層な家柄の横山家が、私のような一般家庭の娘を結婚相手になんか望むのだろうか? それも私は、義父と養子縁組はしているものの、あくまでも義理の娘だ。 今のご時世に古いかもしれないけれど、横山君とは身分違いじゃないだろうか。 「横山家の家柄を考えれば、あたしが嫁ぐなんて喜ばないでしょ? それに、あたしは三田の本当の子供じゃない。義理の娘だよ?」 私はこの言葉に一縷の望みを托す。 ・
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