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天井を仰いで、ふーっと長い息を吐き、将さんは一拍置いて、また気を取り直したように、バタートーストをちぎる。
「横山に襲われそうになって発作が再発したって聞いた時、真剣に横山を殺す方法を考えた」
「ええッ!?…うぐっ」
大声を出した私の口の中へ、将さんはパンを放り込んだ。
お陰で喉に詰まりそうになり、慌てて咀嚼する。
殺す方法って…おいおい…
将さんは、作業の手を止めることなく、話し続ける。
「咄嗟にいろいろ考えたけど、完全犯罪を成し遂げるのも、なかなか難しいし…
もし、俺が警察に捕まって監獄に入ってる間に、また誰かに文香を横取りされたら堪らないから、とりあえず、殺すのは思い留まったけど」
「………」
淡々と話す将さんの雰囲気から、これは冗談を言っている訳じゃないかもしれない…と思う。
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