636人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、私と将さんの目がバッチリ合った瞬間、私の身体がビクッと反応して、手の中の携帯に触ってしまう。
ピッ!
トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…
鳴り響く着信音。
「あ、マナーにするの忘れてた」
将さんは、全く悪びれることなく、自分のスーツの胸ポケットから携帯を出し、皆の注目も構わずに、通話ボタンを押して電話に出た。
「どうしたの?文香」
「え?」
携帯を耳に当てたまま、一歩ずつ近づいて来る将さん。
うわー…これ、ホントに現実?
難しいことを考えるのを放棄したのか、私の頭の中は呑気なことを呟いている。
ぼーっとしている間に、将さんは私の目の前までやって来て
「着信、文香からだよ?」
「は?」
王子様のように、片膝を立ててしゃがみ、私の目線を同じにして、私の顔を覗き込んだ。
・
最初のコメントを投稿しよう!