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「フフッ…大丈夫。俺が切ったから」
胸ポケットに携帯をしまう将さんをぼんやりと見つめる。
「さあ、いい加減、立って」
「はあ…」
握ったままの私の手を、将さんが引っ張る。だけど、私の足の力が全然入らない。
「あ、あれ?」
どうやっても立ち上がれない。
「ブッ!クックックッ…
文香、そんなに驚いたんだ?」
「え?」
私はキョトンとして、将さんを見上げる。
「キスもしてないのに、腰抜かしちゃって」
「はい?」
「ついでだから、キスしとく?」
「はあっ!?」
咄嗟に危機を感じて、私は慌てて、握られてないほうの手で口を隠す。
「え~、ケチだなぁ。文香」
「ついでだからって、キスする訳ないでしょ!こんな人前で!!」
ん?こんな人前?
人前!!!
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