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私はハッと気付いて、周りを見渡すと、呆気に取られた顔、顔、顔。
横山君も寧々ちゃんも、古賀主任や岩尾さんまでもが、ポカーンとした顔でこっちを見ている。
そうだよ!今、会社だよ!
何、将さんのペースに乗っちゃってるの!
「将さ…」
「よいしょっと」
「ひあっ!」
私が話し掛けようとしたら、将さんがひょいと私を抱き抱えた。
「ちょっ!将さん!降ろし…」
「ごめん、そこの君。椅子を戻して」
「はいぃ!」
寧々ちゃんは将さんに言われて、弾かれたように機敏に動いて、倒れていた私の椅子を戻す。
そこへストンと降ろされた私。
「な、な、な…何を…!」
「いや、地べたに座りっぱなしもどうかと思って」
「そういうことじゃなくて!!」
「ん?」
どこまでもマイペースで、人の視線なんて、へっちゃらな悪魔のオオカミ。
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