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「だから、いい加減にしてよ!」
『俺、お前と別れたくないんだよ!
カミさんと別れるのも時間の問題だから…』
「そういうことじゃない!
もう、ヒロシを信用できないって言っているの!結婚しているのをずっと隠してたんだから!」
『離婚したのと同じ状態だったって言っただろ!?』
「でも、実際は結婚しているままじゃないの!
ともかく、もう終わりにして!」
『もう一度会って話し合おう!』
「そんなこと言ったって、埒が明かないでしょ!もうメールも電話もしてこないで。じゃあね!」
ピッ!
携帯を切った瞬間に、電源も落とした。
不毛な話し合いだ。何度こんなやり取りをして無駄だ。アタシの気持ちは変わらない。
「こんな、しつこい男だったとは…ハアァーー…」
アタシは頭を抱えて、大きな溜息をついた。
フリーライターのヒロシとは、雑誌の取材で知り合った。そして、頭数が足らないからとイヤイヤ参加した合コンで、たまたま再会し、それがきっかけで何となく付き合うようになったのだ。
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