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「俺さ…1年の中で、今日が一番憂鬱な日なんだよね」
「え?」
「まあ…理由はなんとなく解ってもらえると思うけど…」
将さんの視線は山盛りな紙袋へ。
「ともかく、昔からこの日はやたら人に呼び出されたり、待ち伏せされたり。で、そういうのを無視したとしても、下駄箱や机に勝手にチョコが入ってるし。
告白するにしても、何も皆、この一日に一極集中しなくていいじゃん?毎年、毎年さぁ…」
「…は、はあ…そうですね」
「文香と付き合い始めて、その数も大分減ったから、ちょっとは気が楽になったんだけど…やっぱり、毎年、チョコはついて回ってくる」
大きな溜息をついて、本当にうんざりとした表情を浮かべた。
でも、これって、ある意味、難攻不落のイケメンの武勇伝…なのかも?
貰い過ぎて困るなんていう人は、そう滅多にはいないはず。
しかし、将さんの立場からすれば、何人もの女の子の告白に対応しないといけないわけで…
それが毎年となれば、精神的負担は重くなってくるだろう。
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