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それは、確かに1週間前ぐらいから予兆を感じていた。そして、日を追うごとに、それをひしひしと感じていたんだけど…
「……ただいま」
「うっ…わぁ……」
玄関から入ってきた将さんの姿に、私の顔は引きつった。なぜなら、紙袋を3つも抱え持っていたからだ。
雑にドカッとダイニングテーブルに置かれた紙袋。すると、紙袋が倒れ、その中身が雪崩のようにテーブルの上へと転がった。
「………」
「………」
無言で見つめ合う私達の目の前には、綺麗にラッピングされた様々な箱が山盛り。
「「はあぁぁぁ…」」
二人でがっくり肩を落とし、大きな溜息。
私はチラリと部屋の片隅にある紙袋に目をやる。その中にもカラフルな箱たちが詰め込まれているのだ。
すべて、チョコ。チョコ。チョコ。
そう…今日はバレンタインデーだ。
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