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「こらこら、文香。そこじゃない。泣くなら、こっち」
そう言って、将さんは私を引き寄せて、自分の腕の中に閉じ込めた。
「しょ、将さん!お化粧ついちゃう!」
「ダメダメ。泣いている文香はエロイから、誰にも見せれない」
「エロイって!そんな訳ないでしょ。も~!」
ペチッと将さんの胸を叩いて、口を尖らせ苦笑した。将さんは優しい微笑みで私を見下ろし、親指で私の涙を拭う。
「ちょっと!そんなところでイチャイチャしてないで、早く、前に行きなさいよ!」
千夏様が呆れ顔でマイクを通して私達に言い渡し、、会場の一番奥に用意されている新郎新婦用の座席を指差す。
ハッ!そうだった!一瞬、結婚式って、忘れてた!!
「チッ!だから、結婚式は二人きりがよかったのに」
新郎が舌打ちって…おいおい…
拗ねた顔で、独りごちているオオカミ。
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