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「うっせ!大きなお世話だ!それこそ、お前の熊五郎より、郁美の方が広い心の持ち主なんだよ」
「誰が熊五郎よ!!」
掛け合い漫才のような兄妹の会話に、郁美さんはクスクス笑っている。
綾ちゃん、やっぱり、変わったな…
言い辛いことをそれとなく言い含めながら、気遣っているのがわかる。
どんなに憎まれ口を叩いてようが、根底には、全部全部、私達家族を思いやる気持ちが込められている。
「綾ちゃん、大人になったねぇ…」
私がしみじみと呟いたら、綾ちゃんは眉間に皺を寄せた。
「はあ?どっから、そんな話に飛ぶのよ。だから、あたし今年でハタチ。言われなくても大人だっつの!
文ちゃんってば、相変わらず、天然だねぇ…」
「また、天然って…」
口を尖らせ不貞腐れると、将さんがクックックと笑いながら、私の頭をポンポンとした。
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