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西野さんは、コホンと一つ、軽い咳をおさめて、『さてと』と続けた。
「これ以上、崎村が臍曲げてもいけないから帰るとするか」
「え?もうですか?」
「実は、私達、仕事を抜けて来たんですよ」
昴さんが苦笑いで、西野さんの言葉の裏を説明してくれた。
「今度は、新婚家庭にゆっくりお邪魔させて貰おっかな~」
「是非、遊びにいらして…」
「却下」
「「「……」」」
ソッポを向いて、お断りを入れる将さんに、皆、呆れ顔。
「じゃ、崎村のいない時にでもお邪魔するよ~」
「それこそ却下だ!!」
ぐわっと噛み付きそうな勢いで、オオカミが即座に返答。
西野さんは、それには全く意を介さず、ひらひらと手を振り、にっこり笑顔でその場を後にした。
昴さんは、申し訳なさそうにぺこぺこしながら、西野さんについていった。
あんな肝っ玉の太い人がいるなら、R=Dも安泰だ。
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