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藤沢さんは、口を尖らせている千夏の頭をよしよしと撫でた。
すると、見る見るうちに頬を赤く染める千夏。
藤沢さんの甘い態度は、千夏を黙らせるのに効果てき面。
そのことを熟知している藤沢さんは、やっぱり侮れない。
「じゃあ、智紀、よろしく」
「おう」
将さんは藤沢さんに目配せすると、私を引き連れ、ウッドテラスから浜辺へと降りた。
「いいのかなぁ…悪いなぁ…」
将さんと手を繋ぎ、浜辺を歩きながら、今までいたレストランを振り返る。
見ると、千夏が真っ赤な顔で藤沢さんを突き飛ばしていた。
千夏様の照れ隠しのあの暴力は、ちょっと考え物だなぁ…
「文香。見るのはあっちじゃなくて、こっち」
頭と掴まれ、くいっと将さんの方を無理やり向かされる。
私の顔を覗き込む、ちょっと不貞腐れ気味のオオカミ。
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