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私服と言われれば違和感を覚えず、仕事着と言われれば違和感を覚える。
そんな私服のような服装を着こなすのは二十代前半と思しき顔立ち、極端に良くも悪くもないその顔を頂点とするは、ソファーに腰掛けられたこれもまた取り立てて細くも太くもない体。
そんな外見の持ち主たる、彼こと栗山 剣(くりやま つるぎ)は、眉間にしわを寄せ目の前のテレビ画面を眺めていた。画面には、あの大人気番組であるモンスターキラーズが映し出されている。
「さぁ、続いてのジャンルは株主の皆様お待ちかね! PGSCs各社様の発表だ」
相変わらずのテンションである番組MCの声が、テレビから聞こえてくる。
そんな声に触発されたのか、剣の眉間のしわが更に深く数も増えていく。加えて、膝も揺らし始めた。
「……なぁ、チャンネル替えてもいいか?」
刹那、遂に限界に達したのかそれとも限界突破する前のガス抜きか。剣の口が開かれた。
彼の口から出た提案は何処へ向けられたものかと言えば。同じソファーに腰掛けている、つまりは剣の隣で同じくテレビを見ていた同じく私服のような服装の同年代と思われる女性に向けられていた。
「嫌」
しかし、まさに瞬殺。剣の提案は見事なまでに却下されてしまった。
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