序章

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「あんたの言うのも分かるが彼女はこう見えてもクスコの準司祭だ。直接戦えんが長い旅の役にたつだろう」 クスコ神は月の女神で、運命と医術を司っている。 教義が布教活動よりも人々への奉仕を重点においているため僧職についているものは少ない。 その神に仕える彼女もそれなりの医術や癒し手としての力は持っているのだろう。 主人の言うように彼女の力は長い旅路であればきっと役に立つことだろう。 ベイリーが答えを促すようにタティアスを見つめる。 「分かった…他の仲間も今晩連れてくるから皆に会ってもらおう」 タティアスがそう言うとメルヴェの暗く沈んでいた表情がぱっと明るく輝いた。 タティアスはガリアートの王女アファロイアの笑顔を思い出していた。
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