荒れ地の街道

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「あそこに岩棚がありますわ。あの下はどうですか?」 意外にメルヴェは体力があるようでずっと徒歩でもヘバる様子はない。 彼女の指した先には少し張り出した岩棚があり、そこならばしばしの休息をとれるだろう。 シャリアンヌは南に広がる景色を仰ぎ見た。 雲一つない空から太陽が荒涼とした大地をジリジリと焼いている。 その空を翔ぶ一羽の鳥を彼女は見付けた。 「鳥は暑くないのかね…」 「暑いに決まってるだろ…」 バルチアが悪態をつく。 マーゲットを除けばもしかするとこの巨躯の戦士が一番バテているのかもしれない。 「それにしてもなかなか来ない鳥だねぇ…」 シャリアンヌはなんとなく気になってしまって何回かその翔ぶ姿を見やった。 確かにその鳥は舞うでもなくまっすぐこちらに向かってきているようだ。だがその影が彼らの頭上を越える様子はまだない。 「なかなか来ない鳥だね…」 シャリアンヌの言葉にホバートも南の空を見る。 確かに一羽の鳥がまっすぐこちらに向かってきている。その姿は徐々に大きくなっているがまだ近くない。 「まさか…」 ホバートの頭の中には一羽の鳥の名が浮かんでいた。 「タティアス!」
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