荒れ地の街道

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巨鳥の何度もあげる甲高い鳴き声が新たなる巨獣を招いたことは間違いないだろう。 おそらくドラゴンは単体では最強の種族の一つだろう。 英雄譚や叙事詩では万の軍勢や一国をも滅ぼすともいわれている。 一行の誰もがその伝説の生物にはじめて遭遇していた。 赤い鱗をしたドラゴンは低いが大きな叫びをあげた。 竜の咆哮には強い魔力がこもっており、並の人や生き物では失神してしまう。 その例にももれず、マーゲットとそのロバ達は気を失ってしまった。 ドラゴンは空を飛ぶロックに襲い掛かった。 ロックは小さな獲物にかまっている暇はなく応戦する。 ドラゴンは小さく炎を吐き、ロックを追い込んでいく。 巨鳥よりふたまわりほど小さいがドラゴンの方が優勢なようだ。 数回空でぶつかったのち、二匹は絡み合うようにして地面に落ちる。 ズウゥゥゥン… 地響きがしてもつれ合うようにして格闘する。 しかしすぐに決着はついた。 ドラゴンはロックの上に乗ると右の翼の付け根を前脚で切り裂き、喉笛にくらいついた。 首をへし折る大きな音がし、ロックは断末魔の叫びをあげた。
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