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チチチチ…
小鳥のさえずる草原の小道を冒険者らしき一行が歩いていた。
「タティアス、これからどうするんだ?」
マントを付けた戦士が先頭を歩く青年に問い掛けた。
「赤の台地に行ってみようと思う」
そう答えた戦士は腰から長い剣を帯びている。革製の服の下に鎖かたびらを着込んでいるためか動く度にシャラシャラと音がする。
彼の名はタティアスと言う。つい先日まで黒土平原の大国ガリアートの騎士であった。今は仕える国はもうない。
赤の台地はノヴァスコスの西方にある荒涼とした土地だ。かつては強力な魔法帝国が栄え、大陸の全土を支配した。しかし自らの力を制御できず、属国の反乱も手伝って数千年前に滅んだ。
その際都市は破壊され、支配者である魔術師たちもかなり処刑された。
今はその地下に眠る豊富な鉱物やそれを使っての工芸品の交易を行なういくつかの都市国家がある。
「グロッソ帝国の廃墟を探検するのも面白そうだしな…」
グレートアクスを背にした大男バルチアが豪快に笑う。
「あんたは気楽でいいよね…」
紅一点のシャリアンヌがため息まじりにつぶやいた。
一行は5人。元ガリアート王国の騎士タティアスとベイリー。
傭兵のバルチアとシャリアンヌ、ジャックルだ。
「エリペモンに着いてから装備を整えないとな..」
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