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一行が酒場に着いたときは盛りの時間のはずだったが半分ほどしか客席は埋まっていない。
「いらっしゃい!」
バルチアとそう体躯の変わらない主人がその巨躯に負けないくらい威勢のよい掛け声で出迎えてくれた。彼らを酒場の真ん中の一番大きなテーブルに案内してくれた。
「全員にエールを..」
「はいよ!」
主人がすぐさま全員分のエールを運んできてくれた。
シャリアンヌが慣れた調子で料理を注文していく。料理注文をとりながら主人が尋ねてきた。
「あんたらはどこから来たんだい?」
「シェトラントからだよ。西に行こうと思ってるんだよね…」
「最近いい話はきかないね。街の西に盗賊団出てるらしいし、赤の台地の入り口あたりにはモンスターの巣窟があるとのうわさもある」
苦笑しながら主人は教えてくれた。
「それならいい仕事あるんじゃないの?」
シャリアンヌが間髪を入れずに切り返す。
「腕に自信はあるのかい?」
主人は一行を値踏むようにみる。
「無論だ…試してもらってもいい」
ベイリーが自信に満ちた声で言う。
主人はニヤリと笑うと注文書をカウンターの向こうに渡し、店の隅に座っているフードの女性と話込んでいる。
「どうなんだろうね…」
シャリアンヌがおどけたように仲間達に問いかけたが誰も答えなかった。
しばらくすると料理が運ばれてきた。一行は雑談をしながら空腹を満たした。
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