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主人は細身の男を連立って来た。
その男は長いローブを身につけ、手には樫で作った身長くらいの長い杖を持っている。その杖の先には魔晶石がはめ込まれていて、一目で魔術師とわかる風貌だ。
「初めまして、ホバートといいます」
タティアス達と握手を交わして席に腰掛ける。
見た感じタティアス達より数歳年長の若い魔術師のようだ。
「彼らがユトランドまで一緒に行ってくれる。若いが腕は保証するぜ」
つい先日に知り合ったとは思えない推し様だ。
「親父さんの紹介ですから心配してませんよ」
ホバートの話す言葉にはあまり抑揚は感じられない。むしろ無感情といった印象さえ受ける。
「お互い長い旅路だから仲良くやってくれよな」
主人はそう言いながらタティアス達の肩を叩き、豪快に笑った。
「見たところあんたら2人とお仲間の3人とは出が違うようだが…あんたらは前は何をしてたんだい?」
タティアスとベイリーは主人の不意の質問に少し面食らったように顔を見合わせた。
主人でなくとも不可思議に見える一行ではあるが、取り立てて問われたことはまだなかった。
「以前は2人ともガリアートの姫にに仕える近衛騎士でした。3人とはそこの傭兵隊で知り合いハシッシと一緒の戦った仲間です」
主人はベイリーの答えにはあまり驚いた様子もなくうなずいた。
「そうか…あんたらなら信用できそうだな…一つ俺からの頼みも聞いてはもらえないか?」
「自分達に出来ることであれば…」
主人はタティアスの返答に満足げにニンマリ笑うと店の奥に入っていった。
ホバートはこの街にある学術院で何かの研究をしていたらしい。
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