序章

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しばらく3人で話し込んでいると主人は長い黒髪の少女を伴って戻ってきた。 年はタティアス達とそう変わらないようで若草色のローブを着ている。漆黒の長い髪と澄んだ黒い瞳が印象的だ。 「彼女はメルヴェだ。こちらはタティアスとベイリー。あっちが魔術師のホバートだ」「メルヴェです。初めまして」 「初めまして」 主人は4人がひとしきりの挨拶を終えると不意に切り出した。 「実はあんたらのパーティーに彼女を加えて欲しいんだが…」 「…!…」 さすがに3人は驚いた。 3人とも若いとはいえ元騎士と魔術師である。彼女が安全とはいえない赤の台地への道程に参加させるのにためらいがあった。 「危険は承知です。人を雇う余裕はありませんが金銭的な面では負担はかけませんのでお願いできませんか?」 そう言うメルヴェの言葉には彼女の雰囲気に似つかわしくない何か強い意思が感じられる。 「彼女は兄さんを追ってここまで来たんだが彼は今は赤の台地にいるようなんだ」
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