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そして、今はこの目の前にいる佑人を愛している。
自分は異常であることは自覚している。
だから、手に入れようとは思わない。触れようとは思わない。
肌を合わせたいと思うのは血族。そして、オレの近親はもう佑人だけ。
いや、もしかすると佑人が子供を作れば、その子供に欲情するのだろうか。
自分の罪深さに吐き気がしそうだ。
だからもう離れるべきなんだろう。
離れるべきなのだと決めた。
くるくると目の前で大きくなっていく佑人。
2人で暮らした年月は本当に愛しいもので。
その反対側でオレを打ちのめし続けた。
佑人に恋人が出来た時には特にそう思った。
異常なのは自分だけ。佑人は違うのだと。
世界にたった一匹残った獣はこんな気持ちなのだろうか。
犬が猫には欲情しないように、オレは佑人以外の人間には欲情しない。
種族が違う。それ以外に説明のしようがない。
もっと早く離れるべきだった。
その度に言い訳を探し、もう少しだけと佑人の側にいることを望んだ。
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